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竹村亞希子の『易経』はやわかり

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致知2006年5月号

道経塾(どうけいじゅく) 12月号に竹村亞希子の易経解説が掲載されました!

(「道経塾」掲載全文)リーダーの条件

『易経』というと「占い」という印象が強いが、四書五経の筆頭であり、哲学書、帝王学の書として古代中国の帝王が学んだ書物である。

『荀子』に「善く易を為むる者は占わず」、『荘子』に「占わずして吉凶を知る」と『易経』について記されている。これは『易経』を深く学んだなら、占わずとも先々を予測することができるようになるという意味である。

『易経』はリーダーとは時を司り、導く者だと教えている。古代から一国を担うリーダーには時の本流を見極める洞察力と将来の兆しを察する直観力が不可欠とされてきた。

乾為天の龍

帝王学として学ばれた代表的なものが『易経』の始めにある龍の話である。龍は天を翔け、雲を呼び地上に慈雨をもたらす想像上の生き物である。そのような力から、龍は古代から君子(リーダー)に喩えられる。

龍の成長は潜龍、見龍、君子終日乾乾、躍龍、飛龍、亢龍と六段階の変遷をたどる。

潜龍から躍龍までは飛龍になるための成長過程。そして飛龍はリーダーを示し、飛龍がおごり高ぶると亢龍(降り龍)になるという変遷過程である。

この龍の話にはリーダーの条件が時の変遷とともに記されている。リーダーに成長するためには、何を養い、努力すればいいのか。その要件を論理的に把握できるのである。

さらに龍の成長過程を踏むことで洞察力と直観力が身につくと教えている。

まずは志ありき

第一段階目は潜龍に始まる。潜龍とは地の奥深くに潜み隠れている龍をいう。まだ実力もなく、世の中に認めれられない時である。

「潜龍用うるなかれ」

とあり、この時は焦って世に出てはならない。なぜならば力を蓄え、将来の大きな展望を描き、高い志を打ち立てる時だからである。

「確乎としてそれ抜くべからざるは潜龍なり」。「確乎不抜」の言葉の出典である。どんな立場になろうと、決して抜き動かさない高い志を持つこと。これがリーダーの第一条件だという。

大人を見るに利ろし

第二段階は「見龍田に在り。大人を見るに利ろし」とある。

龍は大人に素質を見出され水田に現れる。見龍の「見」には見る、そして「聞く」「従う」の意味がある。見龍とは、大人の行動に見習う龍をいう。教えられたことをその通りにできるようになるまで、徹底的に見様見真似で学ぶのである。

大人とはどんな人物かというと、「邪を閑ぎてその誠を存し」。怠け心やずるさは誰にでもあるが、自分の中の邪心を認め、それを防いで常に誠心をあらわす。このような大人の物事の基本、原理原則に従った行動を繰り返し真似ていく。

田の耕作のように、春に田植えをし、夏に草刈りをし、秋に収穫して冬には田を休ませ滋養する。冬に田植えをするのではなく、時に従ってその時々に当たり前にすべきことをする。物事の順を違えたり、道理をはずさない、人としての基本的姿勢を実践で身につけていることが、リーダーの第二の条件である。

君子終日乾乾す

第三段階は、「君子終日乾乾す」という段階になる。君子=龍である。

「君子終日乾乾す。夕べに 若たり、 けれども咎なし。」

「乾乾す」とは、充実して毎日毎日同じ事を繰り返すということ。見龍の段階は見様見真似で教えられた通りに繰り返すが、ここでは自分の意志と創意をもってさらに反復し、基本から応用を身につける。

「 若たり」とは恐れる如く。夜独りになったときにその日一日を恐懼して反省しなさいと教えている。「あの時の行動はよかったのか。」と反省をすることで「明日はこうしてみよう」という創意が生まれる。同じ事の繰り返しの中でらせん階段を描くように成長していくのである。それだけではなく、この意識と実践の反復が、時の本流を見極め、危機の兆しを知る素養となる。

「君子は徳に進み業を修む。」

「徳」とは、善き人格や行いの要件をいうが、自分がどうしなければならないか。どういう自分でなければならないのか、という内容、中身である。

日々努力と反省を怠らず、質の向上を目指すことを習慣化して身につけていることが、リーダーの第三の条件である。

躍りて淵にあり

次の段階の躍龍は、「或いは躍りて淵にあり。咎なし」と記され、今まさに空に飛翔しようと跳躍を試みる。飛龍になるためには、実力、技術やオリジナリティに加え、時を見極め、機、つまり兆しを察する力が必要になる。スポーツの世界においても、オリンピックで金メダルを獲得するだけの実力があっても、チャンスを捉えなくては為し得ない。

「淵」というのは潜龍が潜んでいた地の水底である。龍の成長の軸になるものは、潜龍の時に打ち立てた高い志にほかならない。そして見龍で学んだ物事の基本、「君子終日乾乾す」の段階で身につけた創意工夫と応用が飛翔の原動力になる。「君子徳に進み業を修むるは、時に及ばんと欲するなり」とあり、すでに業を修め、経験と実力を備え、あとは時に及ぼうと試みるだけである。

どんな分野においても頂点に立つためには、機が熟し、時が満ちるのを察し得る能力が必要なのである。リーダーの第四の条件になる。

飛龍天に在り

五段階目はリーダーとして社会に貢献する段階になる。事業でいえば、守成期にあたる。「飛龍天に在り。大人を見るに利ろし」とある。

飛龍の段階は、自分が思ったように、またそれ以上に物事が成り立っていく。実力と地位を得てリーダーとしての能力を存分に発揮する時である。

飛龍の意志に共鳴する人々が集まってくる。人材は飛龍にとって雨を降らす雲にあたる。龍が描かれた絵を思い浮かべていただければよいが、水の物といわれる龍には雲が付き物である。

亢龍悔いあり

さて、リーダーとしての重要な条件を述べる前に、実力も能力もある飛龍がなぜ亢龍(降り龍)になるのかを説明したい。亢龍とは高ぶる龍をいう。従う雲を突き抜けて、空の高みに昇ってしまうのである。雲が及ばない高みに昇り詰めてしまったら、もはや雨を降らすことはできない。亢龍は「亢龍悔いあり」と短く記され、亢龍になってしまったら、後悔してリーダーの座を退くほかはない。

聞く耳を持つ度量

飛龍の段階は、「大人を見るに利ろし」と見龍の段階と同じ言葉が記されている。ここでは大人の意見を聞く耳を持つことだと教えている。では飛龍にとっての大人とは誰であろうか。

飛龍にとっての大人とは、周りのすべての人や物事を指す。リーダーは同じ目的を持つ人々がいてこそ、その働きができる。

しかし、物事が自分の思う通りに運んでいくと、どんなに優れたリーダーでも必ず驕りの芽が出てくる。行動力と才能にあふれたリーダーは特に、自分は絶対だという錯覚にとらわれて独善的になる、と『易経』は厳しく説いている。

驕り高ぶりによって洞察力と直観力が衰え、時の軌道を大きくはずしてしまう。大企業のリーダーがまさかと思うような不祥事を起こすのはこのためだ。頂点を極めたリーダーが失墜するのは、歴史的に繰り返されている事実であり、栄枯盛衰の原理である。よほど心していなければ国や組織を保ち得ない。

亢龍にならずに飛龍(リーダー)の時を保つ条件は、「大人を見るに利ろし」の一文に集約されている。耳に痛い諫言をする部下をうるさがり、自分に都合のいい意見ばかりに耳を傾けていると本当に能力のある人材は去っていく。雲が去ってからでは時すでに遅しである。

リーダーは周りの人、部下や友人の意見を聞く度量と、自分の驕りを認めて軌道修正できる謙虚さを備えてることだ。そして人の意見を聞く耳は優れた人材を集め、育成するのである。

『易経』の説くリーダーの条件とは、

一、確乎不抜の志を打ち立てること。

二、人としての基本的姿勢を身につけること。

三、努力向上と反省を習慣化すること。

四、時を見極め、兆しを察することを試みる。

五、人の意見を聞く耳を持つこと。

この五つの条件を順を追って実践で身につけることである。

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