君子固より窮す~窮すれば通ず9.~日経eブック『江守徹の朗読で楽しむ易経入門』第3弾より

作成日:2009年5月14日

窮すれば通ず9.
(日経eブック『江守徹の朗読で楽しむ易経入門』第3弾より)
  朗読 江守徹  解説 竹村亞希子
窮すれば通ず8. の続きです。
※「習坎(しゅうかん)」に続き「沢水困(たくすいこん)」の卦です。
江守朗読:
困(くる)しみてその亨(とお)るところを失わざるは、
それ唯(た)だ君子のみか。

亞:
どんなに苦しくても、志を失わないでいられるのは、君子だけだろう。
困難な状況に追い込まれたときに人は、ついつい悪事に手を染めたり、
恥も外聞もなく、道義にもとる行いに走ったりしがちです。
すると、失敗は失敗を招き、ますます困窮に陥っていくのです。
『論語』にある、
「君子固(もと)より窮(きゅう)す。
 小人窮すれば斯(ここ)に濫(みだ)る」

で言わんとするところが、これにあたります。
孔子が64歳のとき、諸国を彷徨(さまよ)い、
陳の国で三日間、食料が途絶えました。
弟子の子路が腹を立てて、思わず師である孔子に質(ただ)します。
「君子もまた窮すること有るか」
  「立派な君子でも窮することがあるのですか」
孔子は答えます。
「君子固(もと)より窮す」
  「君子といえども、もちろん困窮するときがある」
「だが、しかし・・・」と続けて、
「小人窮すれば斯(ここ)に濫(みだ)る」。
「小人が困窮すると乱れる。
 平常心を無くし、節度を忘れ、だらしなくジタバタともがく」
この“濫(みだ)る”という字は、実は“盗む”とも読めます。
“小人”とは普通の人、一般人、つまり、われわれのことです。
「君子は困窮しても乱れない。
 しかし、小人が困窮すると自暴自棄になって、悪事に走ることもある」。
小人は困窮を脱することが出来ないばかりか、
かえって苦しみが倍増する、といったのでした。
       続く
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