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『超訳・易経 自分らしく生きるためのヒント』(角川SSC新書)
陰の力と陽の力の違い
陰の力と陽の力の違いで、私がおもしろいと思った話があります。
以前、読んだ本のなかに書いてあったトップセールスマンについての話です。
ほとんどのトップセールスマンは、陽のやり方をします。
明るく、快活でバンバン売り込み、能弁で、
聞かれたことにきちんと答えて切り返します。
ところが、自動車や百科事典、ピアノなど高額商品を売るトップセールスマンは、一見、ぼうっとしていてやり手には見えず、
もともと口べたで積極的には切り込めない。
どうしてこの人がセールスなんてしているのだろうと思うような人が
桁違いに売り上げるというのです。
やり手のセールスマンは、断られても「これもいいですよ、あれもいいですよ」といってきます。
するとこちらは売りつけられそうで、「早く帰って」という気持ちになります。
ところが消極的で内気なセールスマンの場合、
断られたら「そうですか……」とそれ以上なにもいえないのです。
すると、なんとなく不憫に思ったお客のほうから、ひと言話しかける。
それがふんわりと吸収されて・・・
『超訳・易経』 第三章より
☆
~帝王学の書~5月20日の『易経一日一言』(致知出版社)
☆吉凶悔(かい)吝(りん)☆
悔吝を憂うるものは介に存し
震(うご)きて咎(とが)なきものは悔に存す。
(?辞上伝)
「吉凶悔吝」の吉は得る、凶は失う、 悔は後悔する、
吝は吝嗇(りんしょく)・けちる・厭(いや)がる。
「吉凶悔吝」は人の心と行動の巡り合わせを表す。
つまり、人は過ちを後悔して吉になり、
吉になると油断して驕りや慢心が起こって吝嗇になり、
過(あやま)ちを改めることをぐずぐずと厭がり、凶になる。
凶になって、そこでまた後悔するのである。
吉凶の分かれ目は「悔・吝」にある。
恐れ震(ふる)えて咎めがないのが「悔」である。
また、凶になる兆しが「吝」であり、凶が吉になる兆しが「悔」である。
「震きて」とは、「凶」という事実と、そこに至った厚かましいほどの吝嗇に恐れ震えること。
吝嗇を重ねると、人は善悪の感受性を失い、 不正を働いても「何が悪い」というほどになる。
震えは感受性の回復である。
恐れてブルブルと震えなければ、後悔の念は湧かない。
後悔して身を改めて吉に向かうのである。
また、トラブルの原因を洞察する者は、
恐れ震えるほどに後悔して、流れを吉に変えることができる。
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