『サン・ジョルディの日~日本導入顛末記4-5』
2015年日本で30年目!
4月23日は『サン・ジョルディの日』!
~女性は愛する男性に本を贈り、男性は愛する女性に花を贈る~
4.協会の始動開始!
1985年1月初旬。
「日本カタルーニャ友好親善協会準備委員会」
なる名前で我が事務所に設置したのだが
不届きなことに会員は私一人だった。
その直後に面識もなく突然の電話にも関わらず
筑波大学の野々山真輝帆教授(当時は助教授)は
「日本とスペインの虹のかけ橋になろう」
と励まし勇気を与えてくれたうえ、
実体のない協会の顧問まで引き受けてくれた。
また友人を介して話を聞いた音楽業界人が
4月の祝祭に協会として正式な“現地視察”に行くのなら
カタルーニャ州政府からの招待状を貰いなさいと言った。
そうか!? そうだよね!!
招待状を貰うための布石として以下の文書を作った。
☆
カタルーニャ州政府
プジョール首相
関係者各位
1984年12月に私こと竹村亞希子は、貴国に
「サンジョルディ~本と花の日」があることを知りました。
これをポスト・バレンタインデーとして日本に上陸させ
それと同時にカタルーニャ・日本両国間の文化親善を図りたく
「日本カタルーニャ友好親善協会準備委員会」なる機関を設けました。
また協会を貴国との友好的な文化親善のために役立つべく始動を始めました。
「日本カタルーニャ友好親善協会」に今後加盟するであろう
ナショナル・クライアントは貴国に有形無形の利益をもたらすことでしょう。
例えば
1)文化交流
2)観光客誘致
3)日本企業誘致
4)物流
等々
また、日本人がカタルーニャをより理解するために
テレビ・映画等のロケーションへの協力、および
日本版“サン・ジョルディの日”キャンペーン協力等
よろしくお願いいたします。
ご存知のこととは思いますが、
今、日本は相変わらずの海外旅行ブームです。
「日本カタルーニャ友好親善協会」は
この機会にわが国においてバルセロナを中心とした
カタルーニャブームを巻き起こそうと結束を固めました。
なにとぞ私たちの意図と熱意をご理解の上、
ご協力・ご協賛のほど、よろしくお願いいたします。
1985年2月1日
日本カタルーニャ友好親善協会準備委員会
竹村亞希子
メンバー 一同
追伸:2月下旬に竹村亞希子が貴国の各機関の協力要請の為、
バルセロナを訪問する予定です。尚、同封の写真は
日本の首都、東京における“スペイン通り”です。
追記としまして
バルセロナの地に支店または提携のある日本企業は以下です。
(企業名を多く挙げた)
☆
上記の文面をスペイン語に訳したものを大量に用意した。
5.広告代理店探し
さて、日本でイベントを実現させるためには
どうしても広告代理店が要る。
しかし、日本最大手の広告代理店である電通に打診したが
全く相手にされず、一笑にふされてしまった。
「面白いけど実現しないね」と。
※後日談として、
実現した後、電通社内でこの時の対応が大問題になったらしい)
でも、へこたれなかった。
1985年1月下旬。
名古屋に本社をおく新東通信という広告代理店があり
イベントで知り合ったばかりの社員を思い出した。
新東通信で企画&デザインを担当していた赤澤好雄氏。
彼曰く
「その話、うちの社長なら絶対に乗るよ」
1985年2月初旬。
新東通信社長(現在は会長)谷喜久郎氏に会った。
谷氏:「あんたは“サン・ジョルディの日”を見たのか?」
竹村:「いいえ。私は海外へ行った事はありません。
でも、バルセロナへ旅した知人と
バルセロナに住んでいる日本人に聞きました」
谷氏:「聞いたことがないが、本当にあるのか?」
竹村:「今月末に協会の準備委員会として訪問してきます。
そして、今年の4月23日の“サン・ジョルディの日”に
協会として正式に視察訪問するため、
州政府から協会宛ての招待状を出すように要請します」
人の出会いって 面白い。
「実現させるために 一緒にやってくれませんか?」
と聞いた私に谷氏は
「ああ、いいよ。おもしろい」。
続けてこう言った。
「ただし、あんたの成果次第だ。
その招待状を貰ってきてからな」
さすが、創業者のやり手社長である。
やっと、友好親善協会の会員が3名になった!
これに勇気を得て、肩書のついた
「日本カタルーニャ友好親善協会準備委員会・委員長」の名刺と
「エッセイスト・竹村亞希子」の名刺の両方を持ち、
私にとって初めての海外旅行であるスペインへ旅立った。
続く
【サン・ジョルディ伝説】
スペイン・カタルーニャ州に中世から伝わる物語。
サン・ジョルディは、魔物から村を守り、姫を救った勇気ある騎士。
剣を一突きで魔物を打ち倒した時に血から真赤なバラの花が咲き、
男性から愛する女性に愛の証しとして赤いバラを捧げる習慣が生まれました。
一方、女性は愛する男性に本を贈ります。
サン・ジョルディが愛と知性の象徴であるため、シェイクスピアや
文豪セルバンテスの命日が4月23日であることから
本を贈るようになったといいます。
(赤いバラに青い麦の穂を添えるのは、若い力、エネルギーを
象徴しているとともに子宝に恵まれるように・・・
という願いがこめられている、という説もあります。)