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窮すれば通ず8.
(日経eブック『江守徹の朗読で楽しむ易経入門』第3弾より)
朗読 江守徹 解説 竹村亞希子
※窮すれば通ず7. の続きです。
※「習坎(しゅうかん)」に続き「沢水困(たくすいこん)」の卦です。
NA(ナレーション):
それでは「沢水困」を細かく見ていきましょう。
江守朗読:
困(こん)は、亨(とお)る。
亞:
草や木が水気(みずけ)を失ったがごとく、
運気が衰え、窮乏して万事思うようにならず、
打開の道が見出せない状況になれば
何人(なんびと)といえども意気消沈して肩を落とし、
首(こうべ)を垂(た)れて力なくうなだれます。
このように困難が窮まるときなのに易経では、
「困(こん)は、亨(とお)る」と言っています。
何故でしょうか。
江守朗読:
貞(てい)なれ。
亞:
貞(てい)なれ、貞(ただ)しくあれ、貞しくありなさい。
貞(てい)は、貞節の貞という字で、正しくて固いという意味です。
志を正しくして固く守れば、徐々に困難を脱して物事が開ける、
必ず亨(とお)るというのです。
江守朗読:
大人(たいじん)は吉(きつ)にして咎(とが)なし。
亞:
大人であれば、それが出来る。
逆境にあっても平常心を失わない。
江守朗読:
言うことあるも信ぜられず。
亞:
困の時は、何を言っても信じてはもらえません。
江守朗読:
困(こん)は剛(ごう)?(おお)わるるなり。
亞:
困の時は、君子が小人に妨げられて、
本来、為(な)すべき行為ができません。
江守朗読:
険(けん)にしてもって説(よろこ)ぶ。
亞:
困難の真っ只中に居ながらも、心は喜びを失わない。
どんなにつらい状況にあっても、そのなかで楽しみを見出す。
苦しみの中でこそ、本当の喜びや楽しみを見出すことができるというのです。
どんなに多くの災難がふりかかってこようとも挫けない。
明るく、前向きに、ユーモアと笑顔を忘れない。
「薬を10錠飲むよりも、心から笑った方がずっと効果があるはず」
と言ったのは『アンネの日記』の作者アンネ・フランク、
辛く暗い青春時代を送った少女です。
笑うことで緊張感がほぐれ、肩の力も抜ける。
目の前にある問題は無くならなくても、笑顔によって、気持ちが楽になる。
声を出して笑えば楽しくなる。
気力が充実する。 活力が湧いてくる。
屈託のない笑顔は、最高の特効薬であることを伝えています。
続く
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