8.易経の構成

吉凶悔吝咎なし

易経は「経」と呼ばれる本文と「伝」と呼ばれる注釈と解説で構成されています。

本文は六十四卦を上経と下経に分け、上経は三十卦、下経は三十四卦です。

「経」には「卦辞」と「爻辞」が記されています。

「伝」(解説)はその本文の解釈を十の翼で助けるという意味で「十翼」といいます。

解説・注釈としてのちに書き加えられたのがこの十翼です。

「上彖伝」・「下彖伝」「上象伝」・「下象伝」・「繋辞上伝」・「繋辞下伝」・「文言伝」・「説卦伝」・「序卦伝」・「雑卦伝」の全部で十伝です。

易経は、まず六十四卦それぞれについて記された、「卦辞」、「爻辞」の本文と、その解説である十翼「上彖伝」、「下彖伝」、「上象伝」、「下象伝」で構成されています。純粋な陽の卦である乾為天と、純粋な陰の卦である坤為地には、「文言伝」が加わります。

「繋辞上伝」、「繋辞下伝」、「説卦伝」、「序卦伝」、「雑卦伝」は六十四卦の後にそれぞれ独立してまとめられています。

この伏羲が陰陽を唱え、周の文王が本文を記し、孔子が解釈書をまとめたとされていますが、あくまでも伝説であり、歴史的事実ではないといわれています。

卦辞

卦の全体の内容。その「時」の全体像。彖辞ともいいます。

爻辞

六本の各爻にかかる辞で、その「時」、シチュエーションの六段階の変遷過程。立場、時間的経過、環境、状況の詳細をあらわしています。乾為天と坤為地の二卦には、六爻だけでなく、用九(陽の用い方)、用六(陰の用い方)が加わります。

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十翼(本文の解説・注釈)

彖伝(上・下)

卦辞(彖辞)の解説。六本の爻を組み合わせたかたち、卦象などから卦の意味を解説します。「彖に曰く」と始まるのが、「彖伝」の部分です。

象伝(上・下)

「大象」と「小象」の二つに分けられ、「大象」は卦辞の解説。「彖伝」の解説とはやや異なり、地と雷など八卦の組み合わせから、道徳的、政治的な解説をしています。

「小象」は、爻辞の解釈で各爻の意味、位置と他の爻との関わりなどを説いています。

どちらも「象に曰く」と始まるのが「象伝」です。

繋辞伝(上・下)

易経の概論を哲学として高め、解説したもの。「兆し」に言及しているのが、繋辞伝です。

この伝に記される「形而上者謂之道、形而下者謂之 器」[形而上なるもの、これを道といい、形而下なるもの、これを器という]の一文が「形而上学」(メタフィジックス)の語源といわれています。

文言伝

六十四卦のうち、純粋な陽と純粋な陰の卦である、乾為天と坤為地にとくに重きをおき、詳細を述べたもの。二卦だけに付けられた解説です。

序卦伝

六十四卦には配列順がありますが、その配列の意味を説明したものです。

説卦伝

易経の概論と八卦が象徴する自然現象、天・沢・火・雷・風・水・山・地のほか、該当するあらゆる事物を上げています。

雑卦伝

六十四卦のそれぞれの様相を短く要約してあらわしたものです。