兌下乾上 天沢履(てんたくり)
履虎尾不咥人。亨。
彖曰、履、柔履剛也。説而應乎乾。是以履虎尾不咥人、亨。剛中正、履帝位而不疚、光明也。
象曰、上天下澤履。君子以辯上下、定民志。
虎の尾を履むも人を咥わず。亨る。
彖に曰く、履は、柔にして剛を履むなり。説びて乾に応ず。ここをもて虎の尾を履むも人を咥わず、亨るなり。剛中正にして、帝位を履みて疚しからず、光明あるなり。
象に曰く、上、天にして下、沢なるは履なり。君子もって上下を弁ち、民の志を定む。
初九。素履。往无咎。
象曰、素履之往、獨行願也。
九二。履道坦坦。幽人貞吉。
象曰、幽人貞吉、中不自亂也。
六三。眇能視、跛能履。履虎尾咥人。凶。武人爲于大君。
象曰、眇能視、不足以有明也。跛能履、不足以與行也。咥人之凶、位不當也。武人爲于大君、志剛也。
九四。履虎尾。愬愬終吉。
象曰、愬愬終吉、志行也。
九五。夬履。{厂/萬}貞。
象曰、夬履、貞{厂/萬}、位正當也。
上九。視履考祥。其旋元吉。
象曰、元吉在上、大有慶也。
初九。素履す。往くも咎なし。
象に曰く、素履の往くは独り願いを行うなり。
九二。道を履むこと坦坦たり。幽人貞にして吉なり。
象に曰く、幽人貞にして吉なりとは、中みずから乱れざればなり。
六三。眇にして能く視るとし、跛にして能く履むとす。虎の尾を履めば咥う。凶なり。武人大君となる。
象に曰く、眇にして能く視るとすとは、もって明あるとするに足らざるなり。跛にして能く履むとすとは、もって行をともにするに足らざるなり。人を咥うの凶は、位当たらざればなり。武人大君となるとは、志のみ剛なるなり。
九四。虎の尾を履む。愬愬たれば終には吉なり。
象に曰く、愬愬たれば終には吉なりとは、志行わるるなり。
九五。夬めて履む。貞なれども{厂/萬}し。
象に曰く、貞なれども{厂/萬}しとは位正しく当たればなり。
上九。履むを視て祥を考う。それ旋るときは元吉なり。
象に曰く、元吉にして上に在るは、大いに慶びあるなり。