坎下坤上 地水師(ちすいし)
師、貞。丈人吉无咎。
彖曰、師衆也。貞正也。能以衆正、可以王矣。剛中而應、行險而順。以此毒天下、而民從之。吉又何咎矣。
象曰、地中有水師。君子以容民畜衆。
師は、貞なり。丈人なれば吉にして咎なし。
彖に曰く、師は衆なり。貞は正なり。能く衆を以いて正しければ、もって王たるべし。剛中にして応じ、険を行ないて順なり。ここをもって天下を毒しめて、しかも民これに従う。吉にして何の咎かあらん。
象に曰く、地中に水あるは師なり。君子もって民を容れ衆を畜う。
初六。師出以律。否臧凶。
象曰、師出以律、失律凶也。
九二。在師中。吉无咎。王三錫命。
象曰、在師中、吉、承天寵也。王三錫命、懷萬邦也。
六三。師或輿尸。凶。
象曰、師或輿尸、大无功也。
六四、師左次。无咎。
象曰、左次、无咎、未失常也。
六五。田有禽、利執言。无咎。長子帥師。弟子輿尸。貞凶。
象曰、長子帥師、以中行也。弟子輿尸、使不當也。
上六。大君有命。開國承家。小人勿用。
象曰、大君有命、以正功也。小人勿用、必亂邦也。
初六。師は出づるに律をもってす。否らざれば臧きも凶なり。
象に曰く、師は出づるに律をもってすとは、律を失えば凶なるなり。
九二。師に在りて中す。吉にして咎なし。王三たび命を錫う。
象に曰く、師に在りて中す、吉なりとは、天寵を承くるなり。王三たび命を錫うとは、万邦を懐くるなり。
六三。師あるいは尸を輿す。凶なり。
象に曰く、師あるいは尸を輿すとは、大いに功なきなり。
六四。師左き次る。咎なし。
象に曰く、左き次る、咎なしとは、いまだ常を失わざればなり。
六五。田して禽あり、言を執るに利ろし。咎なし。長子師を帥ゆべしとは、中行なるをもってなり。弟子なれば尸を輿すとは、使うこと当たらざればなり。
上六。大君命あり。国を開き家を承けしむ。小人は用うるなかれ。
象に曰く、大君命ありとは、もって功を正すなり。小人は用うるなかれとは、必ず邦を乱ればなり。