艮下坤上 地山謙(ちざんけん)
謙、亨。君子有終。
彖曰、謙、亨。天道下濟而光明。地道卑而上行。天道虧盈而益謙、地道變盈而流謙。鬼神害盈而福謙、人道惡盈而好謙。謙尊而光、卑而不可踰。君子之終也。
象曰、地中有山謙。君子以{亠/臼/(衣-亠}多益寡、稱物平施。
謙は、亨る。君子は終わりあり。 彖に曰く、謙は、亨る。天道は下済して光明なり。地道は卑くして上行す。天道は盈を虧きて謙に益し、地道は盈を変じて謙に流き、鬼神は盈を害して謙に福いし、人道は盈を悪みて謙を好む。謙は尊くして光り、卑けれども踰ゆべからず。君子の終りなり。
象に曰く、地中に山あるは謙なり。君子もって多きを{亠/臼/(衣-亠}し寡を益し、物を称り施しを平かにす。
初六。謙謙君子。用渉大川。吉。
象曰、謙謙。君子卑以自牧也。
六二。鳴謙。貞吉。
象曰、鳴謙、貞吉、中心得也。
九三。勞謙。君子有終、吉。
象曰、勞謙君子、萬民服也。
六四。无不利。{手|爲}謙。
象曰、无不利、{手|爲}謙、不違則也
六五。不富以其鄰。利用侵伐、无不利。
象曰、利用侵伐、征不服也。
上六。鳴謙。利用行師征邑國。
象曰、鳴謙、志未得也。可用行師征邑國也。
初六。謙謙す君子。もって大川を渉る。吉なり。
象に曰く、謙謙す。君子卑もってみずから牧うなり。
六二。鳴謙す。貞にして吉なり。
象に曰く、鳴謙す、貞にして吉なりとは中心より得たればなり。
九三。労謙す。君子終ありて吉なり。
象に曰く、労謙す、君子とは、万民服するなり。
六四。利ろしからざるなし。謙を{手|爲}く。
象に曰く、利ろしからざるなし。謙を{手|爲}くとは、則に違わざるなり。
六五。富めりとせずしてその隣と以にす。もって侵伐するに利ろし。利ろしからざるなし。
象に曰く、もって侵伐するに利ろしとは、服せざるを征するなり。
上六。鳴謙す。もって師を行り邑国を征すべきのみなるなり。